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ソーシャルの次のプラットフォームへ布石 FacebookのOculus買収

VRかARか

 買収で大きなスポットがあたったのがVRだ。先のPersson氏はKickstarterでも出資したことを明かし、「(Oculus Riftの方向は)説得力がある」とVRの進化を認める。

 ベンチャーキャピタルAndreessen Horowitzのパートナー、Chris Dixon氏はGuardianに対し、ハードウェアコンポーネントがかなりパワフルに、かつ低価格になったこと、3Dゲームを発明したエンジニアが新しい分野を開拓したがっていることを挙げながら、VRが現実のものになりつつあるとする。Oculusについては「SFの世界での話を、正しい人が正しいタイミングで実現するという信念の下に創業された」と持ち上げる。なお、Andreessen HorowitzはFacebookにもOculusにも投資している。

 New Yorkerは、この買収が誰に向けられたメッセージかに注目する。FacebookとZuckerberg氏の声明文を分析し、文言が買収発表にしてはあまりにダイレクトで明確であると指摘。そして、従業員、投資家などもあるが、真の対象は“あなた”つまりFacebookユーザーだとの見方を示す。人がVRによってつながる世界を示そうとしているのだという。

 また、Forbesは、同じくヘッドマウント型の「Google Glass」と対比させ、両社のアプローチがVRとAR(拡張現実=Augmented Reality)という似ていながら異なる方向を向いていることを分析した。

 ARは目の前にある現実に情報を重ねる。これを利用するGoogle Glassは「技術を見えなくするもの」で、「われわれができることを拡張して、できなかったことを可能に」「物事を容易にできるように」するものと分析。“外向き”であるとする。一方、OculusのVRは、現実から離れ、「本物だと思わせることで、できないことを可能にする」ことで“内向き”のテクノロジーと規定する。

 こうしてFacebookとGoogleの技術へのアプローチは根本から異なるが、両者は共存していくとForbesは予想する。その上で、どちらかに賭けるならばVRだとする。ARは実際に行きたいところに行けるなら素晴らしいが、どこでも行けるセレブならともかく、多くの人にはバーチャルの世界が相応の選択肢になるだろうとの理由からだ。

 友人とのつながりをサービスの核とするFacebookは、バーチャルの世界をそのための新しいチャンネルとして提供するという方向を掲げた。VRの大衆化は、Facebookがリードすることになるのだろうか――。

岡田陽子=Infostand