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ソーシャルの次のプラットフォームへ布石 FacebookのOculus買収

Oculusコミュニティは反発

 FacebookのOculus買収に対し、BGRはFacebookの成長戦略であると評価する。両社の「ぴったりとはまらないようにみえる」組み合わせが、「ビデオカメラFlip Videoを買収したCisco Systemsのようになるのか、製品ポートフォリオを多様化してくれるのかのどちらかになるのか」とした上で、後者だろうと予想する。

 BGRは理由として、Oculusにはゲームを超えてカンファレンスやコミュニケーションなどの可能性があり、バーチャルリアリティは数億人の人々がつながる新しい方法を提供できる、とする。SNSとしてのFacebookはいずれ成長の壁にぶつかるが、多様化によって成長を続けていけるとの分析だ。

 Guardianは「Facebookが初めて、遠い先を見すえて行う買収だ」と評価しながら、「3D TVがコンシューマーの心をつかめないでいる中、HDよりも劣る技術のためにゴーグルを装着する気になるのかという懸念もある」と指摘する。

 一方、買収されるOculusのコミュニティからは強い反発が起こっている。人気ゲームの「Minecraft」開発者のNotch(Markus Persson氏)は自身のブログで、MinecraftをRift向けに開発する作業を進めていたが、Facebookによる買収を受けて計画を停止したと述べた。

 Persson氏は、VRが日常生活の中に入ってきつつあるということは肯定しながらも、「Facebookは草の根のハイテク愛好家が集まった企業ではないし、ゲーム技術会社でもない。ユーザー数の拡大にフォーカスしてきた経緯もある」と否定的な見方を示す。さらには「Facebookプラットフォーム向けのゲーム開発では、最初のうちは順調だったがFacebookが自分たちが構築したいソーシャル体験に合わせるべくプラットフォームを変更した結果、残念な状態になってしまった例が少なくない」とも指摘する。

 また、KickstarterのOculusのプロジェクトページには支援者たちの憤りのコメントが相次いでいる。「われわれが支援したのは、オリジナルのアイデアで世界をもっとよくしようとする人々であって、米国企業に身を売ることではない」「Kickstarter支援者は払い戻しを受けるべきだ」「個人的にFacebookが嫌いだ」「ソーシャル広告マーケティングやデータマイニング向けのVRではなく、ゲーム向けのVRを提供してくれることを期待していた」などなどだ。

 これを取り上げたTIMEは、Kickstarterは厳密にはアイデアを離陸させるためのクラウドファンディングとは異なり、資金をプールするためのファウンディングであると指摘。Oculus創業者のPalmer Luckey氏がKickstarterの成果物には(買収後も)変更がないと述べている、と同社を擁護している。

(岡田陽子=Infostand)