Infostand海外ITトピックス

社内から新CEOを選んだMicrosoft Satya Nadella氏の課題は (Ballmer氏が敷いたレール)

Ballmer氏が敷いたレール

 Microsoftが1月に発表した2013年10-12月期決算では、売上高が前年同期比14%増加の245億1900万ドルと過去最高を記録。純利益も同3%増の65億5800万ドルとなった。Nadella氏はそんな中でバトンを受け継ぐが、誰もが、その道のりは厳しいものになると考えている。

 背景にあるのは、クラウドやモバイルといったハイテク業界のトレンドにMicrosoftが乗り遅れているという事実だ。モバイルOSは「Windows CE」時代を含め歴史があるにもかかわらず、Apple(iOS)やGoogle(Android)に追い越された。クラウドサービスでもGoogleやAmazonの後塵を拝している。Microsoftが根本的な改革をできずにいる間に、Googleらがさらにリードしている状態だ。Microsoftは、大きな流れであるコンシューマリゼーションのトレンドに乗れずにいると位置づけられている。

 Nadella氏は就任後初の従業員あて電子メールで、「今後10年でコンピューティングはもっとユビキタスに、インテリジェントになり、アンビエントになる。ソフトウェアと新しいハードウェアフォームファクタの共同進化が仲介役となり、仕事、生活、そしてわれわれの世界での活動や体験をデジタル化する」「われわれの前にあるチャンスをものにするには、これまでモバイルとクラウドファーストの世界でやってきたことを再創造(Reimagine)し、新しいことをする必要がある」、とモバイルとクラウド、その先のモノのインターネットを展望している。しかし、具体的な策には触れていない。

 では、Nadella氏の最優先課題は何だろう――。元Microsoftウォッチャーで現在モバイルをカバーしているRe/CodeのIna Fried氏は「モバイル」と断定する。Microsoftは「One Microsoft」の下、2013年夏にWindows(Windows 8とWindows RT)とWindows Phoneの両方を統合する担当者を任命した。ハードウェアもある。Ballmer氏が行ったNokia買収は、モバイル端末のノウハウに加え通信事業者との関係をもたらすものだが、赤字のまま取得する格好だ。Nadella氏は「Nokiaの電話事業を企業に統合するという課題を引き継ぐ」とFried氏は言う。

 先のGavin Clarke氏は、Nadella氏の最優先課題は「イノベーションではない」と言う。Ballmer氏は引退表明の前から「デバイスとサービス」という目標を掲げ、One Microsoftとして事業部間の境界を取り除いて組織を再編した。つまり、すでに道筋は示されているのだ。その流れから「イノベーションではなく、(すでにある戦略の)執行であり、売上げと市場シェアだ」とClarke氏は述べている。

(岡田陽子=Infostand)