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ポストスマートフォン時代の幕開けか? GoogleのNest買収 (GoogleはAppleより革新的?)

GoogleはAppleより革新的?

 GoogleとNestとの組み合わせでIoTが盛り上がるという興奮の一方で、プライバシーの懸念も持ち上がっている。例えばGuardianは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」というGoogleのミッションを引き合いに出し、「家庭で人々がやっていることを知ることができるという(Nestの潜在性)は、Googleには舌なめずりするほど欲しいものだろう」とデータとプライバシーの面を指摘する。

 Guardianが紹介したツイートでは「Nestは終わり。Googleがわが家に入ってくる前にサーモスタットを捨てる」や、「Googleは地球上の全ての人の家の温度を知ることになる。これがなにを意味するのか…」というものもある。また「将来、“Nest、温度を上げてくれ”と頼んだら“Dave、残念ながらそれはできない”といわれる日がくるのでは…」という冗談のようなツイートも紹介している。これは、映画「2001年宇宙の旅」の名ぜりふ「I'm sorry Dave, I'm afraid I can't do that(Dave、残念ながらそれはできない)」(コンピュータのHALに乗っ取られた宇宙飛行士のDaveが、HALにドアを開けろと頼んだときにHALが返した言葉)にひっかけたものだ。

 Nestはブログで「われわれのプライバシーポリシーは、収集した顧客情報をNestの製品とサービス改善のためにのみ利用するように制限されている。これまで、われわれはこのポリシーを重視してきたし、今後も変わらない」と述べている。

 だが、このメッセージは「(Nestが)Googleと顧客データを共有することを除外するものではない」との意味があるとGuardianは読む。Venture Beatも「Googleがその約束を維持すると期待するのは、近視眼的だ」として、Nestのデータを得たGoogleがこれらデータを活用することで、もっとスマートな広告配信が可能になるという予想も提起する。さらには、収集したデータにGoogleの中核であるAI(人工知能)を応用することで、「得られたデータに応じて自動的に行動をとるソフトウェアを構築できる」と広い可能性をみる。

 こんな懸念や予測と同時に、Nest買収はGoogleの戦略や方向性を印象づける効果もあったようだ。中でも、すっかり対立の構図ができあがったGoogleとAppleとの戦いについて、Guardianは「(Appleは)Nestの買収を試みていなかった」と報じ、「Googleはデータを収集するために必要な買収を重ねる一方で、Appleにとってデータ収集は中核ではなく、(買収の)ターゲットを注意深く選んでいる」と分析した。

 Steve Jobs氏の伝記を書いたWalter Isaacson氏はCNBCのインタビューで、GoogleのNest買収について「Googleがデバイスから全てのデータを収集しなければならないという戦略が驚くほど強固で統合されていることを実証した」と評価し、IoTの戦いでは「Googleが先行した」とコメントした。そして、AppleがiPodで革新的だった時代に活躍したFadell氏を引き抜いたことに触れながら、「現在のイノベーションの源はGoogle」とした。

 GoogleはBoston Dynamicsなどロボット企業の買収も続けており、モバイルのさらに先に向けて開拓を進めている。GoogleのEric Schmidt会長はBloombergの年始のインタビューで「モバイルは(PCとの戦いに)勝った」と勝利宣言をし、Googleは2104年も引き続き投資を続けると述べている。

 検索エンジンからスタートしたGoogleが、広告モデルとともに「世界中の情報を整理する」という野望を少しずつ現実のものにしている――。Nestはその重要なステップの1つと言えそうだ。

岡田陽子=Infostand