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ポストスマートフォン時代の幕開けか? GoogleのNest買収 (期待されるスマートホーム市場の開花)

期待されるスマートホーム市場の開花

 1月初めに開催された「Consumer Electronics Show 2014」(CES)では、ウェアラブルコンピューターやネット対応家電などが大挙して登場し、市場と競争がスマートフォン(モバイル)の枠を超えて拡大してゆく方向が鮮明となった。「モノのインターネット」(IoT)といわれる分野だ。そんな中での大型買収に、メディアも熱が入った。

 Venture Beatなど多くのメディアは、Nest買収によってGoogleはスマートホーム市場参入に必要なソフトウェアとハードウェアを得られるというメリットを挙げている。この分野でGoogleはいくつかのプロジェクトを展開してきた。2011年に発表したAndroid端末から家電を制御するという構想「Android@Home」、2012年6月に発表されたものの販売に至らなかったエンターテインメントデバイスの「Nexus Q」、開発者向け提供中のメガネ型ウェアラブルコンピュータ「Google Glass」などで、成功したものもあれば、失敗もある。

 Venture Beatは、ユーザーや投資家からの評判が高いNestを手に入れたことで、Googleは「拡大しつつあるIoTでハブとしての役割を得られる」と評する。

 アナリストも同様の見方だ。元野村証券英国でモバイル担当のアナリストだったRichard Windsor氏(現在、RadioFreeMobile)は、「クレイジーな評価額だが、長期的に戦略にもたらす価値により正当化されるタイプの買収だ」とした上で「モバイルエコシステムが、単なる携帯電話から拡大しつつあることを示すもの」とGuardianにコメントしている。Forrester ResearchのFrank Gillett氏はAPに「買収の目的は、Googleが(スマートホームの)世界について学ぶためだ。ここでは、コンピュータがアクセスできる情報は(スマートフォンより)多い」と述べている。

 印象的なのは、Nestの競合とみられるほかのスマートホーム分野も、この買収を好意的に受け止めていることだ。例えばスマートロック(鍵)ベンチャーのAugustはCNetにコメントして「この種の技術が一時的な成功に終わらないということを確信させる」と、市場の盛り上がりに期待を寄せている。

(岡田陽子=Infostand)