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ゲーム業界はクラウドをどう受け入れる? 注目の「PlayStation Now」 (ゲーム機からサービスへ)

ゲーム機からサービスへ

 Wired.comはこうしたことに加え、PlayStation Nowがユーザーが「対価を払ってでも利用したいサービス」か否かを考察する。

 PS4にPS3との互換性がないため従来のゲームがプレイできないことに憤慨しているユーザーは多い。Wired.comは、多くのユーザーがPlayStation Nowは無料にすべきだと考えるとみている。実際、ソニーの公式ブログのコメントには「PlayStationゲーム機とPlayStation Plusを持つユーザーには割引価格を!」「PS4でストリーミングするために、PS3で購入したゲームを再度購入する必要があるのか?」「すでに購入したゲームに無料でアクセスできるのか?」といた書き込みが多く見られる。

 さらに大きな課題が、ソニーのビジネス戦略だ。ストリーミングはMicrosoftも開発中といわれているが、ソニーやMicrosoftにしてみれば、ゲーム機を中心としたビジネスモデルを変えることになる。The Independentによると、PS4やXbox Oneは実質的に“最後のゲーム専用ハードウェア”となり、ゲーム業界はインターネット対応のさまざまな端末の上に、居場所を求めることになると予想する業界関係者もいるという。

 Financial Timesは、ソニーの戦略を「さまざまなデバイスを縫い合わせる新しいサービス」と分析。前任の社長兼CEO、Haward Stringer氏が失敗した「ハードウェア+ソフトウェアモデル」、それにハードウェア製品の見直しの2つの分野で成功できるかを、平井氏の抱える課題とする。

 「将来、ソフトウェアとサービスへのシフトから受けるソニーのハードウェアビジネスの崩壊の傷は深いものになるだろう。クラウドゲームはあらゆる画面にストリームされる。コンソールを必要としないし、クラウドTVもハードウェアを必要としない」と警告する。平井氏は「デジタル時代の行き先を模索」しており、問題は「計画を実行し、迅速に動くことができるか。その間、どれだけの痛みを受け入れることができるか」にかかっているとした。

 今年のCESでは、クラウドのほか、ウェアラブル、デジタルホームなどの関係発表・展示が目立った。その内容からは、業界がゆるやかに融合し、その進展を次第に速めていることがうかがわれる。クラウドとマルチデバイスの波はゲーム業界にも及び、時代を創ってきた巨大市場もその姿を変えていきそうだ。

岡田陽子=Infostand