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ゲーム業界はクラウドをどう受け入れる? 注目の「PlayStation Now」 (ゲーム販売が変わる? 根強い懐疑論も)

ゲーム販売が変わる? 根強い懐疑論も

 PlayStation Nowの発表を受け、ゲーム販売大手のGameStopの株価は10%以上下落した。中古ゲームを売買できるGameStopのようなサービスが不要になるという見方からだ。「ちゃんと動き、価格が適性ならば、(PlayStation Now)サービスはPlayStationゲームの利用を新しいユーザーに拡大できるだろう。また、GameStopなどの小売店にとって終焉を告げる予兆になる」とデジタル版Timeは記している。またアナリストのDavid Schnick氏は「PlayStation Nowのように手軽に入手できるサービスは、小売店の売り上げに影響を与える」とAPにコメントしている。

 だが、懐疑論も多い。クラウドを利用してゲームを配信するという試みは初めてではない。例えば米国で2010年にサービス提供を開始したストリーミング形式でゲームを配信するOnLiveもその例だが、開始から2年もたたないうちに経営難に陥り、サービスを打ち切った。このOnLiveの失敗についてBusiness Weekは、快適に利用するには通信速度などの環境が必要、開発したゲームをOnLiveで提供するのが難しかった、などの技術的障害を挙げている。

 PlayStation Nowの基盤となるGaikaiは、OnLiveの競合と位置づけられていたサービスだ。Business Weekによると、ソニーはクラウド型ゲームの技術的問題の克服には成功しているという。だが、これに対し、「あらゆる種類の技術的問題を解決しなければならないはずだ」「98%では不十分で、100%きちんと動かなければならない」とGartnerのアナリスト、Brian Blau氏は懐疑的だ。

 Jenney Capital MarketsのアナリストTony Wible氏は、過去の失敗例から、「ゲームライブラリが豊富かどうか」を成功に必要な要素として挙げている。Timeも同様に、ゲームをライセンスできるかが重要として、Turner Broadcastingがかつて試みたデジタルゲームサービス「GameTap」がタイトルラインアップに乏しく失敗に終わった例を挙げた。多くは、早々にクラウドに移行するには、技術的にもビジネス的にも課題が多いと考えている。

(岡田陽子=Infostand)