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OpenStackは大企業に浸透するのか DellとRed Hatが提携 (OpenStackで「最前席を得た」)

OpenStackで「最前席を得た」

 この提携には、さまざまな含みがある。まずはDell側。Dellはこの1年でクラウド戦略を大きく変更させてきた。当初はOpenStackベースのパブリッククラウドを自社で構築する計画を打ち出したものの、5月にはパブリッククラウド戦略を中止し、プライベートクラウドに集中すると発表した。今回のRed Hatとの提携で、Dellはプラットフォームを自社開発することなくOpenStackベースのエンタープライズ・プライベートクラウドソリューションを提供できることになる。合理的な動きで、メディアの見方も好意的だ。

 Moor Insight and StrategyのPatrick Moorhead氏は、Forbesのコラムで「Dellは最前席を得た」と述べている。さまざまなLinuxディストリビューションがある中で、Red HatのRHEL(Red Hat Enterprise Linux)は大企業で最もよく使われているディストリビューションだ。クラウドでも同じパターンとなる可能性が高いという。そうしたことから、将来普及期に入る際にRed Hat Enterprise Linux OpenStack Platformが「エンタープライズでRHELのように、OpenStackの“ゴールドスタンダード”と見なされるだろう」との想定がある。

 OpenStackはDellと競合しているHP、IBMも支援しており、それぞれが自社のパッケージを開発している。Dellは今回、ここを完全に提携に切り替えることで、コストを最小限に抑えつつクラウドシステムを市場に投入できる。このようなことから、Moorhead氏は「スマートな動きだ」「DellはRed Hatでクラウド攻撃を実行に移している」とした。

 また、Red Hat側にしてみれば、Linuxと同様にOpenStackで優位に立つための重要なステップとなるだろう。

(岡田陽子=Infostand)