Infostand海外ITトピックス

「iTV」か「iWatch」か、それとも……AppleのPrimeSense買収 (広がるモバイルの可能性)

広がるモバイルの可能性

 Forrester ResearchのJames McQuivey氏はAd Ageへの寄稿で、Appleが買収後にPrimeSenseの技術をテレビで活用する可能性もあると認めながら、PrimeSenseは3Dセンサー向けのSoCの小型化を進めており、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末で利用できるようになると予想する。となると、次世代のiPhoneは「本物の3Dビジョン技術を搭載した端末になる」とMcQuivey氏は述べる。

 モバイル端末でのジェスチャー認識技術はSamsungが一部搭載している。だが動いている人やモノのイメージのスナップを用いて、大きさ、構造などを評価することができるようになれば、たとえば冷蔵庫買い替えにあたって古い冷蔵庫の写真から新しい冷蔵庫のサイズを推奨するなどのことが可能になるという。これはアプリ開発からみても大きなチャンスになりそうだ。

 ソーシャルメディアの専門家Shel Israel氏はForbesへの寄稿で、Apppleの狙いは「テレビをはるかに上回る」と予想し、スマートウォッチ(“iWatch”の名が付けられている)などの可能性に言及する。同時に、Appleのこれまでの買収から、Appleは買収した企業の資産を台無しにすることがあるとも警告。その代表例として、Stanford Research Instituteから2010年に買収した音声認識「Siri」を挙げた。「AppleはSiriの技術開発を進めるよりも広告キャンペーンに投資したために、Google Nowにリードを許している」とIsrael氏は言う。

 PrimeSenseが何に利用されるのであれ、今回の買収はテクノロジー業界のトレンドセッターとしてのAppleへの期待や注目を改めて印象づけるものとなった。New York Timesは「Appleは人々が技術と付き合う方法を変えてきた。iPhoneなどの製品により、キーボードからタッチ画面となった」と評価している。次がジェスチャーコントロールになるのか、まずは地図が大きく変わるのか――。Appleの発表が楽しみである。

岡田陽子=Infostand