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XboxとBingを打ち切り? CEO候補Stephen Elop氏の腹の中 (長期戦略の中のXboxとBing)

長期戦略の中のXboxとBing

 しかし、MicrosoftがXboxを捨てるという考えには強い異論も出ている。 Ars Technicaは 「MicrosoftはBingとXboxを殺すようなCEOを採用してはならない」と題して、Elop氏に反論。Xboxが同社の長期戦略上、欠かせないものだと主張する。

 すなわち、Xboxは、将来大きく成長が見込まれるスマートTVやストリーミングセットトップボックスに向けた布石であり、もし、「デバイス&サービス」戦略を維持したいなら、Xbox部門は非常に重要であるという考えだ。同部門はデバイスとサービスを組み合わせて成功したMicrosoft初の例だからという。そして、これはAppleブランドのテレビが(もし)登場したときの、市場への進行をたやすくするだろうと指摘する。

 また、Bingが“金食い虫”であることは否めないが、オンラインサービス部門の赤字幅は次第に縮小(2011年度27億ドル、2012年度19億ドル、2013年度13億ドル)しているという。Bingが単独のビジネスとしても正しい方向に進んでいるとした上、「Bingを捨てる」のは一時的な利益に目がくらんだ、くだらない考えだと断じる。

 Ars Technicaは、Bingの重要性を、将来の「Data-driven servicesが統合されたOS」に向けたものだと位置づける。その例として挙げるのは、Google Nowのパーソナルアシスタント機能だ。状況や過去の経験からユーザーが必要とするサポートを提供するものだが、こうした機能は今後のOS、とりわけモバイルの分野で非常に重要になっていくと解説。Appleのsiriにもこういった部分が取り込まれていると指摘する。

 BingとXboxを切り捨てることは、Microsoftが自らの価値を破壊することになる、とArs Technicaは結論づけている。

 Elop氏自らが、公式にBingと Xboxを切り離すという考えを語ったわけではない。匿名の人物の伝える内容も非常に慎重なものだ。一方で不満を持っている株主の間に「Bing、Xbox切り捨て論」があることも確かであり、Elop氏がCEOレースで株主にアピールしたとの見方もある。

 しかし、その方向はSteve Ballmer氏が掲げたビジョンに反するものであり、実際にCEOに決まってない段階で打ち出すには大胆すぎるように思える。株主らの空気を測る“観測気球”のようなものだったかもしれない。

行宮 翔太=Infostand