Infostand海外ITトピックス

身売りから一転、CEO入れ替えで新方向を探るBlackBerry (売却計画撤回の理由)

売却計画撤回の理由

 同社は「身売りを含む代替戦略の模索」を、こうした状況の中で発表した。BlackBerryというビッグネームのこと。メディアの関心も高く、Fairfaxらの47億ドルの買収での基本合意の後、11月4日までの資産査定期限の間、買い手についてのさまざまな報道があった。共同創業者Mike Lazaridis氏とDony Fregin氏、そして元AppleのCEO、John Sculley氏、PC大手のLenovoなどで、Google、Intel、SAPなどの名も挙がった。

 中でもLenovoは、PC市場の縮小に伴い、本拠地の中国で既にスマートフォン事業を拡大していることから、BlackBerryの売却先として可能性が高いとみられていた。だが地元カナダのGlobe and Mailによると、カナダ政府の介入で破談となった模様だ。BlackBerryはカナダ、それに米国など欧米の政府関係者が今でも利用していることから、国家安全保障の点で問題となったという。すでに通信機器でHuawei Techologiesなどの中国企業と米国政府の軋轢があるが、米国政府の中でも、機密性の高い機関はLenovoのPCを採用しないところもあるといわれている。

 BlackBerryは結局、これらの案を蹴って売却を白紙に戻したという形だ。Reutersによると、ソフトウェアからサーバー、それにハードウェア事業、知的所有権を持つBlackBerryに対し、複数の企業が資産の一部に関心を持ったが、実現にあたっての分割コストが問題になったという。ReutersはMicrosoft、Apple、Cisco Systems、Googleなどの名前を挙げている。

(岡田陽子=Infostand)