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「Moto X」登場 意外にフツーのスペックとGoogleの狙い (最終目標はAI?)

最終目標はAI?

 Google Nowは、ユーザーが欲しい情報を予測して提供するAndroid対応のサービスだ。Appleのパーソナルアシスタント「Siri」は質問に答え、スケジュールを管理できるが、Google Nowはさらに複雑な提案ができる。ユーザーのカレンダー情報やGPSの位置情報、検索履歴などを参照しながら、“コンテクスチュアル”な処理を行って実現する。コンテクスト(文脈などと説明される)処理は、メッセージの発せられた際の背景などを合わせることで、より正確に意味をとらえ、次に来ることの推論も可能になるという。

 そのためにはユーザーはGoogleが個人情報を利用することを受け入れねばならない。「Googleは、あなたの生活をよりよくすると約束する代わりに、さまざまなサービスに入力した個人情報をGoogle Nowで集める。Googleの中心的野望のトレードオフを具現化するものだ」とLevy氏は言う。

 著名ブロガーのRobert Scoble氏は、この特徴によってMoto Xは流れを変える製品になると主張する。「批評家たちは、センサーとコンテクスチュアル処理で、GoogleとMotorolaがどのようにゲームの流れを変えるかを見落としている。新しい音声機能は小さなものではない。丸ごと新しいセンサーのパッケージで、ハードウェアとソフトウェアの新しいアプローチを示したものだ」と言う。

 またScoble氏は、Googleが2015年の発表に向けて“コンテクスチュアルOS”を開発中との内部情報を得ており、Moto Xもこれに関係するパズルのピースの一つだと推測している。

 CNET編集長のDan Farber氏は、さらにGoogleが開発しているAI(人工知能)との関連を指摘する。Googleは昨年末、AIの権威Ray Kurzweil氏を迎えており、人間の脳の機能を模した大規模なニューラルネットワークを構築しているという。

 GoogleのAIは「チューリングテスト」(人間と区別がつかないインテリジェントな受け答えができるかのテスト)をパスすることを目指しており、Kurzweil氏は、これが2029年までに実現すると予測しているという。「そのときまでに、Moto Xの子孫はシステムの血液細胞になっていることだろう」と Farber氏は述べている。

 Google社内で「X」は、特に未来的なプロジェクトに使われる。Xの名を冠したスマートフォンには未来につながる重要なものが隠されているというのも、うなずける話ではないだろうか。

行宮翔太=Infostand