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エコで涼しい海中データセンター Microsoftの「Project Natcik」

冷却コストがゼロに、潮力エネルギーも活用

 実現へ向けて踏み出した海中データセンターだが、最初から理解を得られたわけではなかったようだ。詳細を報じているNew York Timesによると、当初、アイデアを聞いた研究チームのあるスタッフは「水…電気。最初に聞いた時は、なんでそんなことを、と思った。だがよくよく考えると意味があることがわかった」と振り返っている。

 なぜ海中なのか――。プロジェクトのサイトの説明には「世界の人口のほぼ50%が海岸からそう遠くないところ(約190キロメートル内)に住んでいる」とある。つまり、データセンターを利用者の近くに置くことで、遅延を抑え、速度の改善が図れるというのだ。もちろん、データセンターをつなぐ光ファイバーも短くて済む。

 そして大きな注目を集めたのは冷却だ。データセンターでは、サーバーなどが発する熱を冷却するコストは最大のコスト要因と言われている。データセンターの運用に直接関係ないにもかかわらず、冷却しなければサーバーがクラッシュしてしまうため不可避のコストとなる。そして太陽の光がなかなか届かない海底の温度は低く、「自然の冷蔵庫」(Green Tech Media)として高価な冷却装置がなくても済む。

 海中に置くことのメリットは「自然の冷蔵庫」だけではない。潮汐による海水の移動のエネルギーも利用できる。カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のカリフォルニア通信情報技術研究所のディレクター、Larry Smarr氏は「主要なクラウド事業者は以前から、グリーンエネルギーだけが目的ではなく、環境を活用できる設置場所を探してきた」とNew York Timesに語っている。

 データセンター内との熱交換を行っても周辺で海水温度の大きな変動はなかったようだ。また動作音についても、センサーの周囲にいるエビが動く方がうるさく感じられたほどだという。

 さらに、Microsoftによると、Leona Philpotはリサイクルされた材料を利用しており、CO2排出ゼロも実現可能としている。環境への優しさは特段なのだ。

(岡田陽子=Infostand)