Infostand海外ITトピックス

クラウド時代でセキュリティに照準 Ciscoの成長戦略

データセンターの潮流への対応は

 Ciscoは今年、大きな節目を迎えた。1995年にCEOに就任以来20年間Ciscoを率いてきたJohn Chambers氏がCEO職をChuck Robbins氏に譲った。Ciscoはインターネットの普及とともに成長を遂げてきたが、市場は変化している。2000年から10年間、平均年間13%増という高成長を遂げた同社だが、2010年からは、成長率は4.3%に落ちているとBloombergは指摘する。

 さらには、Google、Facebookなど巨大なデータセンターを持つ技術企業は、Ciscoなどのネットワーク機器を買うのではなく、自分たちで構築する方向にあり、これは「ホワイトボックス」と呼ばれている。この動きはデータセンター市場全体では限定的ではあるが、IDCは2015年末までホワイトボックスのスイッチ市場が年50%増で成長すると予想。市場規模は4000万ドルまで膨らむと見込んでいる。その一方で「Ciscoのハードウェアとソフトウェアの組み合わせは高価で、販売が難しくなっている」(Bloomberg)という。

 こうした状況でバトンを引き継ぐRobbins氏はどのようなかじ取りをするのか。Bloombergがインタビューで探っている。

 それによると、Robbins氏はセキュリティに加え、IoT(モノのインターネット)を挙げる。「5000万ものモノが接続されると、大規模な分散された技術ランドスケープが生まれる」とRobbins氏は言う。そこで同社はSiemensなどの産業大手と組み、Siemensの製品にCiscoのネットワーク技術を組み込むといった提携を進めているという。

 脅威とも映るホワイトボックス市場については、Ciscoの機器を拡張できるようソフトウェアを公開する一方、「80%から90%の大企業は、スキルがなく、専門知識もなく、統合のための研究開発にも投資していない。それどころか、そんなことに時間を費やしたくないと思っている」とRobbins氏は述べ、自社製品へのニーズに大きな影響は与えないとの見方を示す。

 Bloombergは、Robbins氏と新しい幹部陣が成長に向けて「変化を起こそうとしている証拠が見られる」と評価する一方で、近いうちにきちんとした成果を見せる必要があるとも指摘する。IDCのアナリストは、Ciscoが安価なハードウェアや高度なソフトウェアを販売できる期限を「技術に精通していない企業には3年から5年。技術に精通したデータセンター事業を運営する企業には2年」とみる。

 Hewlett-Packardの分社化、DellによるEMC買収など、既存のエンタープライズベンダーの動きはめまぐるしい。Ciscoも同じ激動の中にある。

岡田陽子=Infostand