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iOS端末をエンタープライズに、そして――。 AppleとCiscoの提携

企業ネットワークの中に入るApple

 ラスベガスで開催したCiscoの営業担当者向けイベントで、Cook氏とChambers氏は両社が10カ月前から協業していたことを明かした。そして「Ciscoとの提携によって、仕事を変革できる」とCook氏は語った。2014年7月のIBMとの提携では、既にIBMによるiOS向けアプリやMac導入サービスの展開などの成果を発表している。

 Wall Street Journalによると、新しい提携のメリットは、Ciscoネットワーク上でのiOS端末とアプリの性能アップ、iPhone側にあるコンタクト情報とデスクトップにあるCiscoの固定電話との統合だという。ComputerworldのAppleウォッチャー、Jonny Evans氏は新しい提携を賞賛。当面のメリットとして「Appleはエンタープライズに入るだけではなく、エンタープライズネットワークの中に入ることができる」と指摘する。

 「エンタープライズネットワークの中に入る」とはどういうことだろう。エンタープライズではビッグデータ、AI(人工知能)などの技術開発が進んでおり、そのネットワークの中に入ることは「エンタープライズ技術の進化にとって重要」(Evans氏)という。「Apple技術はエンタープライズITにおいて深いレベルで展開できるプレーヤーになれる」(同)というのだ。

 一方、AppleにはiOSのてこ入れという直面する課題がある。Wall Street JournalはiPadの販売が6四半期連続で低下したことを指摘している。7月に発表した直近の2015年第3四半期業績では、前年同期比23%の減少だった。またNewsFactorによると、ビジネス向けモバイルでのiOSのシェアは64%と首位ではあるものの、シェアは2四半期連続で縮小しているという。ライバルはもちろんAndroidだ。

 両社の提携は開発、そして市場展開の両面を含んでいる。Wall Street Journalは、Appleが企業ユーザーを狙ったアプリを作成するセールスプログラムを技術企業とともに展開していることに触れている。

 だが、今回の提携について具体的な内容が明かされていない部分があり、提携ではiPhone、iPadに加え、Apple Watch向けのソリューションについても可能性を探っているのだと読んでいる。

(岡田陽子=Infostand)