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Chromebook対抗に乗り出すMicrosoft、「生産性とプラットフォーム戦略」

 Satya Nadella CEOの下、デバイスとサービス企業への転換を進めるMicrosoftが、本腰を入れ始めた。1万8000人という同社最大規模のリストラを行う一方、クラウドとモバイルの戦略をパートナー向けカンファレンスで示した。中でも、登場当初はニッチと思われながら着々とシェアを広げている「Chromebook」への対抗策は、メディアの関心を集めたようだ。

モバイルファースト、クラウドファースト時代のプラットフォーム企業へ

 7月13日から17日まで米国で開催されたパートナー向けカンファレンス「Worldwide Partner Conference」(WPC)で、CEOのSatya Nadella氏は「生産性とプラットフォーム企業」「モバイルファーストとクラウドファースト」の2つを強調した。これに先だって7月10日、Nadella氏が従業員向けに電子メールで送った新会計年度の宣言に沿ったものだ。

 このメールでNadella氏は、「クラウドファースト、モバイルファーストの時代のための生産性とプラットフォームをコアに持つ企業」とMicrosoftを位置づけている。Microsoftはクラウドでは「Windows Azure」「Office 365」などを、モバイルではOSに加えて「Surface」ブランドを投入。4月にはNokiaのデバイス事業を買収している。

 また生産性プロダクトは、Officeのほか、「OneDrive」「Outlook.com」「Bing」「Skype」などを含む。MicrosoftウォッチャーのMary Jo Foley氏は、仕事と家庭での利用が結びついている“デュアルユーザー”が同社のターゲットになると分析している。

 WPCはクラウドとモバイルにフォーカスしており、この分野でのパートナー向けプログラムがいくつか発表された。例えばクラウドでは、パートナー企業が直接クラウドサブスクリプションをプロビジョニングしたり管理できる「Cloud Solution Provider」を発表した。SMB向けのトランザクションベースのボリュームライセンスである「Microsoft Open License」にDynamics CRM Online、Azureを統合可能となり、パートナー企業がAzure上でアプリケーションを提供する認定制度Azure Certifiedも発表した。

 またMicrosoftは、2015年春と予想されている次期OS「Threshold」にも言及し、エンタープライズとSMBの両方のニーズに応じていくと述べたことが伝えられている。

 Azureの動向だが、Information Weekによると、Fortune 500企業の57%がAzureを利用しており、Azureを利用するアクティブなWebサイトは30万以上。保存されているオブジェクトは30兆にも及ぶ。また、ID・アクセス管理サービス「Azure Active Directory」は3億人以上が利用しており、週に130億件以上の認証リクエストがあるという。

(岡田陽子=Infostand)