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次はPowerにハイパーコンバージドインフラ、NutanixとIBMの提携

ハードウェアベンダー再編の影響は

 Nutanixにとっての提携の意味はどうだろう。まずx86に代わる選択肢を得られる。またAIなどの新しいワークロード向けにアピールできることなどが挙げられる。こうした攻めの一方で、Nutanixは懸念材料も抱えている。提携するハードウェアベンダー各社の動向だ。

 まず、創業以来良好な関係を築いていたDellは2016年、VMwareを擁するEMCを買収。NutanixなしでHCIハードウェアを構築できる体制が整った。Dell EMCのHCIラインには既に、Nutanixの「XC」に加え、VMwareとの共同開発で誕生した「VxRail」がある。

 また、HPEも2017年に入って、Nutanixと競合するHCI技術ベンダーのSimpliVityを買収している。

 Nutanixは、これらの動きがどんな影響を及ぼすのかの様子を見ながら次の手を用意しなければならない。その一環なのか、同社は5月に入って、CiscoのUCS B-Series、HPE ProLiantラックマウントサーバなどの新しいハードウェアの追加を発表している。

 The Registerは、こうした変化を挙げながら、「Nutanixは実によく、実に素早く動いている」と評している。また、CRNは「Nutanixは強みを持つプラットフォームになる」というIBMのチャネルパートナー企業の声を紹介。IBMとの提携は1年ぐらいでは結果が出ないかもしれないが、長期的に成長する事業になるとの予想を示した。

 両社の提携に対してはメディアの多くは“理にかなった対応”と評価している。IBMの視点で報じたDiginomicaは、「『Power 8が市場の関心を得られなかったら』『市場が(来年登場予定の)Power 9を待つことにしたら』など、たくさんの「もし」があるが、クラウドアーキテクチャによってアプリケーションとハードウェアとの分離が進んでおり、同じソフトウェアを別のハードウェアで動かすことは良いことと言えるだろう」としている。

 The Registerも、Nutanixが中核の業務アプリケーションで用いられる事例ができるもの、と評価した。

 両社の提携は複数年にわたるが、これまでのところ、具体的な製品提供時期、サーバの設定などは公表していない。