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Dockerがエコシステム構築に大きな一歩、Moby ProjectとLinuxKit発表

コンテナをメインストリームにするために

 しかしメディアも手放しで楽観するばかりではない。eWeekは「コンテナエコシステムの成熟」と認めながらも、全体としてはコンテナの普及はまだまだだと指摘する。そして、マイクロサービスを取り上げ、「Dockerが成熟しても、マイクロサービス関連で新しいモデルやツールが登場して、まだ黎明期にある業界に崩壊の脅威をもたらすかもしれない。まだコンテナを採用していないユーザーは、どの方向に進むべきか迷うかもしれない」と注意を促す。

 マイクロサービスは小さなサービスを集めてアプリケーションを構築する手法で、コンテナがその基盤として使われることが多い。マイクロサービスが最終的な道だとすれば、コンテナ以外の方法も現れる可能性があるというのだ。

 eWeekは「技術とユーザーが置かれている状態には大きな乖離がある」というCloud Foundry Foundationの執行ディレクターの言葉を引用しながら、それこそがDockerが技術をオープンソースにしてコミュニティの育成に取り組む理由だろうと分析する。同社は、コンテナランタイムのcontainerdを2016年にオープンソースで公開して、業界団体のCloud Native Computing Foundation(CNCF)に寄贈している。

 今回のプロジェクトやプログラムはコンテナを順調に普及期に向かわせるためのものであり、「Dockerは進化に向けた転換点にある」(Silicon ANGLE)という。GeekWireは、コンテナを発明したのはDockerではないと確認しながらも、パブリッククラウドによって、ソフトウェア開発が、迅速、柔軟にキャパシティを得られるようになった時代に、簡単に使用、実装できるようにした点を評価する。

 Dockerのホストは1400万、Dockerコンテナアプリケーションの数は90万に上り、Docker Hubからのイメージ取り込みは創業以来で累計120億件に達しているという。

 Moby ProjectとLinuxKitの開発者への浸透は進むのか、Dockerがここからどのように成長していくのか――。注目される局面だ。