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VMwareが「vCloud Air」を売却 自社パブリッククラウドから撤退

位置付けが曖昧だったvCloud Air

 vCloud Airの売却は、VMwareのパブリッククラウド事業からの撤退を意味する。だが、業界はこのニュースに驚いておらず、むしろ当然の流れと見る向きが多い。

 VMwareは顧客数を明らかにしていないが、パブリッククラウドでは、AWS(Amazon Web Services)、Windows Azureなどの選択肢がある中で、vCloud Airは「けん引力に欠けている」(SiliconANGLE)という。

 その要因として、「従量課金体系がなく、クレジットカードでの決済にも対応していなかった」(同)としている。SiliconANGLEのアナリストグループは、2015年の時点でvCloud Airを「死んだも同然」と厳しく評価していた。

 vCloud Airが顧客の関心を引かなかったもう一つの理由が、VMwareの親会社EMCが買収したVirtustreamだ。VirtustreamはSAPが出資していた基幹システム向けのクラウドサービスで、2015年7月に12億ドルを投じてEMCが取得した。

 EMCとVMwareはその後、折半出資で同名の新会社を立ち上げ、クラウド事業を統合した。当時、Forbesは「VMwareの株主はEMCとのジョイントベンチャーVirtustreamに不満」という記事で、このジョイントベンチャーが営業損失をもたらすのではないかというVMwareの株主の懸念を伝えている。

 vCloud Airが順調ではないことを示す兆候はいくつもあった。中でも日本では、2016年4月にvCloud Airの提供を中止し、vCloud Air Networkに参加するプロバイダーからの提供に変更する縮小措置がとられていた。また同時期、ハイブリッドクラウド サービス担当としてvCloud Airを率いていたBill Fathers氏が退職している。