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世界を混乱させるフェイクニュース AIは救いになるか?

立ちはだかる壁

 とはいえ、今のところ、AIの力をもってしても、フェイクニュースを根絶、ひょっとすると減少させるのさえ難しいかもしれない。

 「Fake News Detector AI」は、フェイクニュースサイトの運営者が参照されている「特徴」に気付けば、修正して簡単に回避されてしまう。シンプルなアルゴリズムによる識別は、サイト側に裏をかかれる可能性が高い。

 また、FNCも完全なソリューションには遠い。The Registerによると、Pomerleau氏とRao氏は当初、FNCのソフトウェアができれば、ニュースの真偽を判定してフェイクニュースを駆逐できると考えていた。しかし現在は、人間のチェックと組み合わせてでないと、識別はできないと考えている。「今日のAIと自然言語処理能力では、完全に自動化された真のラベルシステムは事実上不可能」というのだ。

 Pomerleau氏はWired.comに対し、何がフェイクかの識別には、AIが得意とするパターン認識以上の能力が必要で、最終的には人間が判断するしかない、と認めている。FNC-Iの「スタンス検出」は、人間のチェッカーの負荷を軽減するか、読者を悪質なフェイクニュースサイトから遠ざけるのは役立つが、全自動で処理するには、人間レベルのAIの登場まで待たねばならないという。

 そしておそらくフェイクニュースとの闘いでの最大の壁は“人の性”。すなわち「人は、信じたいニュースを信じる」ということだ。

 作家でニューヨーク大スターンスクール・オブ・ビジネス非常勤教授のDarren Campo氏は、フェイクニュースを信じる人はしばしば、ニュースが彼ら自身の世界観と一致するかどうかを気にするのだ、とFox Newsに語っている。

 Campo氏は言う。「AIは事実の誤りを認識できたとしても、人間がうそを信じて楽しむ状況を理解できないのだ」