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“自動運転”でハイブリッドクラウドを支援 ZeroStackの「AI Suite」

“自動運転クラウド”は大げさ?

 こうしたZeroStackのアプローチを、メディアはハイブリッドクラウドとAIの2つの観点から分析している。

 NetworkWorldのZeus Kerravala氏はハイブリッドクラウドの需要から検討した。企業のデータは増えており、企業はパブリックとプライベートの両方のクラウドに投資しているとした上で、「パブリッククラウド市場は、ほぼAWSとMicrosoft(Azure)で固まりつつあるが、プライベートデータセンター(プライベートクラウド)は変化期にある」と現状を説明する。

 その中でのプライベートクラウドの問題は、簡単にリソースを調達できるパブリッククラウドに対して、購入、設定、実装、管理などが複雑で長いプロセスになる点だ。Kerravala氏が取材した企業では、実装が正しくできるまでに6カ月を要したところもあったという。同氏はAIを利用してベストプラクティスをソフトウェアに組み込むことができれば「パワフルなものになる」と言う。

 LightReadingも「パブリッククラウド(のメリット)を既存のオンプレミスに拡大するアプライアンスというアプローチ」としてZeroStackを評価する。企業の既存インフラがすべてパブリッククラウドに置き換わることはないとした上で、企業はオンプレミスのITと複数のクラウドプロバイダを利用して複雑さが増していると指摘する。

 これを支援するのがクラウドの分析と最適化で「ホットな市場」だと言う。先日のCisco SystemsのAppDynamicsの買収は、それを裏付けるものであるとする。さらにHPEがセキュリティ分析のNiaraを、VMwareがArkinを買収したことを挙げている。

 AIからの視点は、別のNetworkWorldの記事が取り上げている。そこではテクノロジー業界でAIの採用が相次いでいることを指摘しながら、ZeroStackがサイジング、アップグレード、最適化といった分野にAIを適用することには「意味がある」と評価する。

 一方で同社の自動運転技術は、真の意味でのAIというよりも、ルールベースのツールにすぎないのではいか、とも述べ、「これを“自動運転のクラウド”と呼ぶにはちょっと違うかもしれない」と疑問も投げかけている。

 AIと呼ぶかどうかは別として、AI Suiteがユーザー企業のニーズに狙い通りマッチすれば、ハイブリッドクラウドの採用を加速することになるだろう。