事例紹介

クルマ選びの価値観を変えたい!――ガリバーのテーマパーク型店舗「WOW!TOWN」誕生秘話 (背景に全社クラウド化とiPad大量導入)

背景に全社クラウド化とiPad大量導入

 WOW!TOWNの企画が立ち上がったのは2011年春のこと。そこから完成までどのような経緯を辿ったのか。前提としてガリバーによる全社クラウド化とiPad大量導入という背景があった。

 これらはクラウド、スマートデバイス、モバイルアプリによりワークスタイルを変革する取り組みとして行われた。きっかけは中国事業の立ち上げ。上海では交通事情の悪さなどから移動に時間がかかり、毎回オフィスのPCからメールやスケジュールを確認していては、仕事のスピードが遅くなり、ビジネス全体へ悪影響を与えかねないという課題があったことだ。

 まずはGoogle Appsを導入し、メールやカレンダーをクラウドへ移行。Google Appsではリアルタイムに情報が共有されるため、迅速な意思決定が可能となり、結果として中国での中古車ビジネスライセンスを半年で取得するという成果が挙がった。

 その後、2008年に日本含め全社を巻き込んだクラウドプロジェクトが始動。アイキューブドシステムズをパートナーとして、次々と業務アプリがAmazon Web Services(AWS)上に構築された。当時のクラウドとしてAWSは、機能の改善・拡充がどんどん進み、「そのスピード感がほかとは違っていた」(同氏)。また、アイキューブドシステムズのAWS構築ノウハウをフルに生かせる点が魅力的だった。

 アイキューブドシステムズとは包括的な開発委託契約も結び、ハイペースで業務アプリが開発された。まず取り組んだのは、受付アンケートと出張査定時の記入用紙のアプリ化だった。この際、開発ツールとして活用されたのが、アイキューブドシステムのフレームワーク「Yubizo Engine」で、スピーディな開発が実現し、細かい反復レビューも可能だった。この速度感が「後々、WOW!TOWNでもiPadアプリを使って何かやろうと考えるきっかけとなりました」(坂口氏)という。

 一方で2010年のiPad発売を機に全社員導入を決定した。その数、実に1500台。アプリ開発も含めて着々と準備を進め、2011年8月、iPad 2の時に全社員に配布し終わった。このとき活躍したのが、アイキューブドシステムズの端末管理サービス「CLOMO MDM」。端末の管理のほか、キッティングにも活用し、1500台の導入をアルバイト1人でわずか10営業日で完了した。

 そしてWOW!TOWNの企画が立ち上がる。試行錯誤の中、急ピッチでの開発が求められた。

(川島 弘之)